内装工事が終了して保健所のチェックをクリアしたら、いよいよ開店。長かったこれまでの苦労が報われる瞬間です。ここでようやくちょっと一息… なんてことは決してありません。実はここからが地獄の体力勝負なのです。

タイからコックさんを呼ぶ場合、ビザの申請には営業許可書が必要。つまり、営業しなければビザの申請ができません。そのため、開店に合わせてタイからコックさんを招聘する、ということは無理な話。ビザの許可が下りるまでの最初の2か月くらいは、すべて自分1人でやるくらいの覚悟が必要です。

ここではタイレストランならではの、タイ人コックさんの探し方、雇い方事情などについて紹介します。
結論からはっきりいえば、どうやら招聘は諦めて日本国内で見つけることに専念した方が得策のようです。おいおいそんなバカな、といいたい気持ちも分かります。しかし、実際にタイ人コックさん招聘に成功した店はなかなかないのです。

行政書士の初鹿野豊氏に話を伺うと、タイ人コックさんの招聘が困難になっている理由として、日本での不況が長引いていること、招聘に際して必要な10年以上の在職証明書の偽造が多発してしまったことなどを挙げています。
何十億の売り上げのあるお店ですら招聘に失敗しているというのだから、現実はかなり厳しいようです。

 

入国管理局への申請手続き

タイ人のコックさんを招聘するために必要なのは、入国管理局が発行する在留資格認定証明書(3か月有効)。
この証明書の入手が第一関門。その後この証明書を必要書類とともに、在タイ日本大使館に提出し審査を受けるのが第2関門です。
ではまず、入国管理局での申請の必要書類を紹介します。審査期間はだいたい2~3か月ほど。ただしこれはあくまでも目安のため、実際にはもっと時間がかかることもあります。また、書類に不備があるとよけいな時間がかかります。あらかじめ次ページの問い合わせ先に問い合わせるなどして準備を万端にしておきましょう。

 

入国管理局での申請時に必要な書類

① 入国希望者の10年以上の在職証明書(タイ語、日本語)
② 入国希望者の出生証明書(タイ語、日本語)
③ 入国希望者の履歴書(タイ語、日本語)
④ 日本の店舗の納税証明書 ⑤ 店舗の家賃契約書
⑥ 事業計画書(そのコックが加わることによってどうなるか)
⑦ 保健所からの営業許可書 ⑧ 店の写真
⑨ 店の図面 ⑩ 会社の謄本
⑪ 決算書 ⑫ メニュー
⑬ なぜ招聘するかの理由書 ⑭ 雇用契約書

書類を揃えるだけでも一苦労。また、場合によっては英語に翻訳した書類の提出を要求されたり、上記以外の書類を提出しなければならないこともあります。さらに、結果として許可が下りなくても不服を申し立てることもできません。書類には不備のないよう、十分配慮する必要があります

入国管理局のWebページでは必要な書類などの情報があります
http://www.moj.go.jp/ONLINE/IMMIGRATION/16-1.html

在タイ日本大使館のWebページにも査証に関する情報があります
http://embjp-th.org/

認定証明書を持って在タイ日本大使館へ

さて、二度目の関門が在タイ日本大使館での審査。入国管理局で得た技能の「在留資格認定証明書」と必要書類を在タイ日本大使館に提出することになります。たとえ「在留資格認定証明書」を獲得できたとしても、大使館の審査も厳しいということは肝に銘じておきましょう。ここで審査が通らないケースも多々あります。
「技能」の在留資格認定証明書に基づく査証申請に必要な書類は以下の通り。ただし、場合によっては追加書類の提出を求められることがあるほか、面接や日本の外務省への照会等が必要となることがあるため、日数に余裕を持って早めに申請しましょう。

 

営業申請時に必要な書類―東京都の場合

1.  旅券 (有効期限6か月以上。査証欄の余白が2頁以上)
2.  査証申請書 1部
3.  写真 (申請前6か月以内に撮影された縦4.5 cm x横4.5 cm) 1枚
4.  在留資格認定証明書 原本・写し 各1部
5.  住居登録 原本・写し 各1部
6.  職歴書 1部
7.  所属会社が作成した在職証明書(技能者として採用した年月日及び給与を記載(但し、申請前3か月以内に発行されたものに限る)) 原本1部
8.  これまでに就職したことのある会社が作成した過去の在職事実を記載した文書 原本・写し 各1部
9.  初めての渡航で改姓・改名歴のある方、又は前回の渡航後、改姓・改名をされた方は、改姓・改名を証明する書類(改姓・改名証明書、婚姻、離婚証明書等) 原本・写し 各1部

問い合わせ先:在タイ日本国大使館領事部
Tel:0-2259-0444、0-2259-0725、0-2258-9915(タイ語、英語、日本語可)
http://embjp-th.org/

※入国・在留等の手続についてのお問い合わせ先